大地に張っている根っこの話

或る日のつぶやき ー切り捨てるー
 
                                作: 相田みつお
 
わたしは長い年月
上にのびることばかり考えて来て
土の中深く根を張ることを忘れていたようです

 

ヒョロヒョロと
幹ばかり高くのびて
雑然と枝葉がひろがるようになった時
幹や枝葉の重みに絶えられない
根の弱さに
わたしはは初めて気がついたのです

 

気がついた時には手おくれでした
手おくれとわかった時
わたしは思い切って
枝葉をおとすことにしました
土の中のわたしの弱い根と
細い幹に支えられるだけの
わずかな枝をのこして
あとは、ぱっさりと切り捨てました

 

それは
根の弱い 幹の細い 力のない者が
なんとか自分を守りながら
生きて行くための
消極的な、しかもそれなりに
勇気のいる生活の智慧でした

 

とはいうものの
枝葉をおとす時 わたしは
やっぱりさびしい気がしました
もったいなあとおもいました

 

しかし おかげさまで いまでは
眼に見えない土の中で
弱かった根があらたな活動を始めたようです
枝葉を切り捨てたぶんだけ
いや、それ以上かも..........
誰にも分からない根だけが知る
静かな充実かんを持ちながら.....
 
所感:
二年前、自動車事故で歯を折った。かろうじて、役割を果たしていたが
ついに、先日その歯を抜いたのだ。
噛んで食事をするのに支障を来たしたからである。
 
その時、私の脳裏に相田みつおのこの詩がよぎった。
 
  しかし おかげさまで いまでは
   眼に見えない土の中で
   弱かった根があらたな活動を始めたようです
   枝葉を切り捨てたぶんだけ
   いや、それ以上かも..........
 
切り捨てて、安堵している自分を発見したのだ。
 

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